朝乃山 西幕下14枚目 大相撲五月場所

朝乃山 西幕下14枚目 大相撲五月場所

令和7年5月場所の新番付が4月28日(月)に発表され、先場所三段目21枚目で7戦全勝だった朝乃山は、西幕下14枚目まで番付を戻しました。3月場所を終えた後は東京に戻り、5月場所に向け稽古を再開していきましたが、4月6日に富山市総合体育館で行われた富山巡業には主催者推薦での特別参加を果たし大声援を受け、「元気をもらいました!」と復活へ向けて大いに活力となったようです。

相撲は勝負時間の短い競技です。似たような格闘技であるレスリングは2分ずつ3ピリオド、柔道は4分間、ボクシングは1ラウンド3分で最長12ラウンドまで等と決められていますが、相撲は1分かかる取り組みは滅多になく通常は10秒以内、立ち合った瞬間に決まる勝負も稀ではありません。それ故、番狂わせが起こりやすく例え格下相手だとしても100%負けないという保証は絶対ではありません。それが相撲の難しさであり面白さでもあります。しかしながら、その一瞬の勝敗の確率を高めていくのは、日常の地味で単調な稽古に誠実に真摯に取り組んでいくのが、遠回りのようでも一番の近道です。

現在、高砂部屋の朝稽古は7時半開始です。新弟子を除いてはほとんどの力士が開始時間ギリギリになってから稽古場に下り回しを締めますが、朝乃山だけは7時前に稽古場の上り座敷でストレッチや体操で体をほぐし、誰よりも早く回しを締め、四股やすり足等の準備運動も手を緩めることなく行っています。誰しも体調の悪い日や日々のストレス、精神的な悩み等抱え、「今日は気乗りがしない」とか「少し体を休めよう」とか思う日があり、つい自分自身への言い訳をつくりがちですが、朝乃山は、この地味な鍛錬を、来る日も来る日も淡々と繰り返しています。また、元大関というプライドを捨てて、幕下以下の若い衆としての部屋の仕事も当たり前のようにこなしています。番付発表前に行われる土俵壊し(土俵を作り直すため掘り起こす作業)にも進んで参加し鍬を振い、ちょうど稽古見学に訪れた東京富山県人会の会員の方々も「貴重なものを見せてもらった」と驚き喜んでいました。

“予(よ)祝(しゅく)”という言葉があります。成功する未来や望む結果を予(あらかじ)め祝うことで、お正月や初詣、お花見等も今年が良い年であることや秋の豊作を神様に感謝して前祝いする行事なのだそうです。ですから、神社での参拝も「願いが叶いますように」とお願いをするのではなく、「ありがとうございます」と感謝を伝えるのが本来なのだそうです(そういう私も願うばかりでしたが)。
朝乃山が弛まず日々の地道な稽古に精進していることに感謝し、これからの朝乃山の関取復帰、大関復帰、横綱昇進を、今宵も予祝しましょう!

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