陰と陽を力に変えて 朝乃山 いざ5月の両国国技館へ

風薫る5月夏場所は5月10日(日)から両国国技館にて開催されます。3月場所で勝ち越した朝乃山は、東前頭10枚目の番付となりました。大阪場所を終え、3月29日(日)伊勢神宮での奉納相撲を皮切りに4月26日(日)入間市まで約1か月間に渡る長丁場の巡業から戻り、27日(月)の番付発表の翌28日(火)から5月場所に向けての稽古を始めています。

巡業では、横綱大関をはじめとして十両(上位力士)以上の関取衆が一堂に会して稽古を行います。それゆえ、いろんなタイプの力士と稽古できる、毎日新たな環境で稽古でき、全国のお客さんと身近に触れ合い応援してもらえるという利点がある反面、大人数での稽古の為、稽古の番数が少なくなってしまう、長時間のバス移動での体への負担が大きい等のマイナス面もあります。

膝や足首のケガを抱える朝乃山にとっては、体調管理という面での不安は確かにあるのでしょうが、土俵に上がれない悔しさを味わい続けただけに、上位の力士と稽古できる、土俵の上で大きな声援を受ける喜びの方が大きいのではないでしょうか。

毎場所、稽古始めの日には“土俵開き”が行われます。幕内格行司木村朝之助が祭主となって、五穀豊穣や土俵の安泰を祈願する儀式です。まず「清祓いの儀」で土俵を清め、「祝詞奏上」「祭幣ならびに献酒」とつづき、土俵の起源や勝負の道理の故実である「方屋(かたや)開口(かいこう)」が朝之助により朗々と言上されます。
「天地(あめつち)開け始めてより陰陽に分かり、清く明らかなるもの陽にして上にあり、これを勝ちと名づく。重く濁れるもの陰にして下にあり、これを負けと名づく。勝負(かちまけ)の道理は天地自然の理(ことわり)にして、これをなすは人なり。清く(きよく)潔(いさぎよ)きところに清浄の土を盛り、俵をもって形となすは、五穀成就の祭りごとなり。ひとつの兆しありて形となり、形なりて前後左右を東西南北、これを方(ほう)という。その中にて勝負を決する家なれば、今はじめて(柝)方屋と言い名づくなり」
物事は全て「陰と陽」「表裏一体」として存在しますので、どちら側から観るかによって違ってきます。いまの朝乃山にとっては、長い巡業も“稽古できる喜び”“応援してくれるファンと触れ合う喜び”という陽の面が大きいはずです。

方屋開口を言上する木村朝之助

実際、巡業の前半は四股やすり足等の基礎運動にしっかり取り組み、子供たちとの稽古にも参加し、後半には関取衆との申し合い稽古を積極的にこなし、確かな手応えも感じたようです。2場所続けての最後の3連敗の悔しさも、5月場所に臨む大きなエネルギーとなることでしょう。「勝負の道理は天地自然の理」です。やるべきことをやってきた朝乃山の5月場所に期待しましょう!

子どもとの稽古

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