横綱への道は「力まない相撲」にあり! 朝乃山の無限の可能性を信じて

朝前進の胸にぶつかる朝乃山

 9勝6敗と勝越したのですが、目標としていた10勝に届かない残念な9勝でした。初日5月場所で足を痛めた因縁の相手翔猿には、思い切りのいい突きを見せ会心のスタートを切りますが、2日目若ノ勝、3日目藤凌駕と動きがかみ合わずに連敗。4日目狼雅を得意の右四つから寄り切ると、だんだん心身のバランスがかみ合ってきて、千代翔馬、阿炎と退け、御嶽海、阿武剋、大青山、藤青雲と攻めの相撲が光り10日目で8勝2敗と勝越し。優勝争いにも名前を連ねてきました。しかしながら11日目尊富士に敗れると12日目の獅子戦も右四つがっぷりになりながら敗れ、13日目欧勝馬の猛攻を凌いで逆転の上手投げで9勝目をもぎ取ったものの14日目琴栄峰、千秋楽高安と敗れ、9勝6敗で7月場所を終えました。

ぶつかり稽古を行う朝乃山(14日目朝)

ぶつかり稽古を行う朝乃山(14日目朝)

 今年に入ってから、後半戦5日間の苦戦が目立ちます。1月場所と3月場所は12日目に勝越しを決めながら13日目から3連敗して8勝7敗の勝越しに終わり、5月場所では11日目に翔猿に敗れ足を痛めて休場、そして7月場所での11日目以降1勝4敗の成績です。実力に差がない幕内力士同士の対戦、勝ち負けは“時の運”ですから、たまたまと言えなくもないのですが、たまたまそうなった要因も挙げていけば幾つかあるのでしょう。

 まず一つはスタミナ不足。相撲は一瞬の勝負ですが、本場所15日間を乗り切るにはやはりスタミナが必要です。普段の稽古でどれだけ番数をこなし、自分を追い込めているかが、後半戦の相撲に、顕著に現れてきます。そういう意味ではケガ続きの現在の朝乃山にとって15日間を乗り切るスタミナが足りないことは間違いないでしょう。また、年齢を重ねる毎に暑さ、寒さが体に響いてくるようになります。20代の頃は一晩寝れば回復していた疲れが30代に入ってくると回復に時間がかかり、特に今年のような猛暑は体の芯に応え、疲労回復を遅れさせます。より自分の体に向き合った心身のケアが大切になってきます。膝や足首のケガを抱え、年齢的な回復力の衰えも出てきて、これから先の見通しが厳しくなってくるばかりにも思えますが、スタミナや筋肉疲労を乗り越えるのではなく、スタミナや筋肉を使わない相撲を目指していくことです。今場所初日の翔猿戦や5月場所での宇良、藤青雲との一番は、力みなく全身が連動して、見ていてスッキリする相撲でした。朝乃山本人にとっても、力みなく前に出られた気持ちのいい相撲だったことと思います。

 それが筋力やスタミナに関係なく取る「相撲力」による相撲です。腰の構えによる全身の構造で相手の力を受け、重力を利用して全身を連動させ前に出ることで初めて可能になります(難しいことですが)。全身を連動させ、さらに重力(地球)とも連動できれば鬼に金棒です。そのために、四股、テッポウを「力まず」繰り返す必要があります。元々体の柔らかさと重さを持った朝乃山、「力まない」相撲を一番でも多く見せ、単なるパワーや瞬発力ではない相撲の本質(全身の連動や重力を使った相撲)を目指していってほしいところです。それが横綱への道です。朝乃山には、その可能性があると信じています!

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