令和5年5月場所を振り返って

朝乃山12勝! & 19人勝越し!

令和5年五月場所は、新緑に囲まれた風薫る両国国技館にて5月14日(日)初日の幕を開けました。新型コロナウイルスの5類移行に伴い、本場所でのマスク着用が任意となり声援も認められ、コロナ禍以前の活気が戻った国技館は15日間満員御礼という大盛況でした。さらに、今まで制限のあった出稽古が初日の前日まで認められ、場所中の外食等も認められと、お相撲さんにとってもようやくコロナ以前の日常を取り戻すことが出来た本場所になりました。

2年ぶりに幕内の土俵に上った朝乃山は、東前頭14枚目の番付で初日から7連勝と白星を積み重ね優勝争いにも加わる活躍を見せ12勝3敗の成績を上げることが出来ました。来場所は、いよいよ三役復帰を目指せる前頭上位へと番付を上げることが期待されます。
幕下以下の力士も揃って好調で、幕下6人中5人が勝越し。11枚目の石崎は5勝を上げ関取昇進へ向け再度歩みを進めることが出来ました。三段目でも9人中6人が勝越し。9枚目朝弁慶と32枚目朝志雄は幕下復帰濃厚な勝越し。47枚目の朝大洞は5勝1敗の成績で千秋楽の一番を迎え、勝てば新幕下昇進が濃厚となる取組でしたが残念ながら敗れ来場所再挑戦です。まだ18歳ながら186cm 180kgと大きな体を相手にぶつけられるようになってきましたので、今後の成長が大いに期待されます。序二段でも9人中7人が勝越し。13枚目の朝白龍と42枚目の朝氣龍が6勝1敗の好成績で三段目昇進と復帰を確実なものとしました。出場26人中、19人が勝越しという近年稀に見る好成績で千秋楽を迎えることが出来ました。因みに今場所の所属力士26人の高砂部屋は、全44部屋中で力士数が一番多い部屋となっています。

力士一同の好成績のお陰もあり、5月28日に帝国ホテルで行われた千秋楽打ち上げパーティーは、満席の大盛況となりました。ゲストの宮路おさむさんの歌やバイオリン演奏、勝越し力士によるカラオケと華やかなうちにも和やかに進行され、ホテルの豪華な料理に加え、ちゃんこ鍋の提供もあり、力士との記念撮影やお馴染み抽選会での豪華景品と、お客様にとっては大満足の一日となったようで、来場所での更なる活躍を期して閉会となりました。

朝乃山の近況

朝乃山の仕切り


東前頭14枚目と2年ぶりの幕内の土俵に戻った朝乃山、先場所の反省を踏まえつつ得意の右四つ前に出る相撲で初日から7連勝と、前頭下位の番付では格の違いを見せつけました。11日目を終えて10勝1敗、横綱照ノ富士と並んで優勝争いの先頭に立ちましたが、関脇大栄翔と横綱照ノ富士に完敗して期待された復活優勝は来場所以降へ持ち越しとなりました。
久しぶりの対戦となった横綱照ノ富士戦、頭から当たり左をおっつけと、考えた立合いで横綱を押しこみ左を差して攻め込みましたが、逆転の小手投げでひっくり返されました。敢て私見を述べさせて貰えれば、横綱照ノ富士戦は朝乃山が一番得意とする右四つ前に出る相撲で勝ってもらいたいということです。

13日目の朝、立合いの稽古を繰り返す朝乃山

   
相撲は相手を土俵の外に出すか転がすかで勝負が決まるシンプルな競技です。シンプルですが、シンプルが故に深く複雑な運動になります。同じような取組に見えても、心技体それぞれが複雑に絡み合い、同じ展開は二度とあり得ません。多様で複雑な運動(カオス)です。3月場所で完敗した王鵬に5月場所では完勝したように、ちょっとした気の持ちよう体の使い方で結果は大いに変わってきます。筋力やパワーを高めたりテクニックや作戦に頼ることなく、朝乃山の一番の良さである全身のバランス(調体)の練度を上げていけば、横綱戦の初勝利は必ず見えてきます。相手も得意とする右四つで勝ってこそ真の横綱への道が開けてきます。7月場所の横綱戦に大いに期待したいと思います。

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