朝乃山、西前頭12枚目 3月場所すり足に磨く、土俵と氷を結ぶ”ナンバ”の力

大阪に春を呼ぶ3月春場所は、3月8日(日)からエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育館)で開催されます。
先場所西前頭16枚目で9勝を上げた朝乃山は、西前頭12枚目の番付となりました。

膝の大怪我から復帰を果たしたのがちょうど1年前の春場所で三段目からの再起でした。そこから、5月、7月幕下、9月、11月十両と番付を上げ、先場所幕内復帰、そして迎える3月場所です。先々月号にも記したように、現在の大相撲界は横綱大関といえども実力差は紙一重です。朝乃山の優勝に期待しつつも一歩一歩相撲力をつけていくことにこそ注目して見守っていきましょう! 

さて、ミラノ・コルティナオリンピックが日本中に感動を与えました。フィギアスケートペアの“りくりゅう”ペアの劇的な金メダルやフィギアでの銀と銅メダル、スピードでの高木美帆選手のメダル等、日本選手の活躍が大きな話題となりました。以前からスケートを観る度、「どこか相撲に通ずるものがあるな」と感じていたのですが、スケートの初心者向けの滑り方を解説しているサイトを見ますと、足の使い方が相撲の基本と似ているのに驚かされます。

スケートの初心者は、まず足を「逆ハの字」に開き、その姿勢のまま歩く「ペンギン歩き」から練習するとあります。そして滑り方の基本で大切なことは「前足にしっかりと体重をのせること」で、そうしなければ前に進めないとあります。これは、相撲のすり足も同様で、右足を出すときには右手右肩を出して前に進む、いわゆる“ナンバ”の動きが基本になります。前に出す方の足に体重を乗せることによって滑る氷の上でもバランスを崩すことなく前に進めるのです。足で蹴って体(重心)を進めるのではなく、重心移動で体(腰)を進め足が後追いするのは、以前に紹介した柳川昌弘氏の「足捌きは腰捌き」という言葉にも通ずることです。


土俵は、固く突き固めた土の上にサラサラの砂を撒いてあります。それゆえ、氷上ほどではありませんが、けっこう滑ります。滑る土俵の上で相手に圧力をかけて前に出るためには、右手右足(正確には右半身)を同時に出すナンバの動きでなくてはならないのです。そして、日常の歩き方と逆の動きになる「ナンバ」の動きを身につけるために「すり足」や「テッポウ」を毎日飽きるほどくり返し行う必要があります。「すり足」や「テッポウ」は、単なる筋力トレーニングではなく土俵上で身体を合理的に使うためのものなのです。

朝乃山もすり足には精力的に取り組んでいます。しっかり腰を割り、足を逆ハの字に開き、土俵を何度も往復します。「テッポウ」にも毎日取り組んでいます。ただし欲を言えば「テッポウ」に取り組む回数をもっと増やしてもらいたいところです。日常の体使いとは逆の「ナンバの動き」を身につけることが相撲の本質力である「相撲力」を高めることにつながっていきます。

元・一の矢

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