
令和8年9月秋場所は、9月13日(日)から両国国技館にて開催されます。先場所9勝6敗だった朝乃山は、東前頭6枚目の番付となりました。名古屋場所後は富山に戻り、県庁で知事への挨拶や砺波市での講演等、積極的に故郷富山の方々と交流を深め、富山の人々に喜びと元気を与え、朝乃山本人も元気をもらってきたようです。数あるプロスポーツの中でも、大相撲は故郷とのつながりが最も濃い競技であるといえるでしょう。番付表には、四股名の上に部屋名ではなく出身地が記されますし、場内アナウンスでも「東方朝乃山 富山県富山市出身 高砂部屋」と、必ず出身地が先に紹介されます。
司馬遼太郎が『街道をゆく41‐北のまほろば』の中で青森県木造町を訪ね、木造町出身の横綱旭富士に触れ、「関取は、由来、生国の山河を背負っている。あるいはそれら山河の精霊にまもられているのである。べつの表現でいえば、その山河が他の山河と、めいめいの関取の体を借りて闘うのである」と述べています。まさに朝乃山は、立山や富山湾、黒部、生まれ育った呉羽の自然と共に故郷富山の人々の思ひも背負い、後押ししてもらい、土俵に上がっているのです。それゆえ立山やブリを描いた化粧まわしも朝乃山に相応しく絵になるのでしょう。
バスケットボールのNBAで活躍する八村塁選手は、富山市出身で日本のみならず世界的にも有名なのですが、司馬遼太郎がいう生国富山の山河を背負い精霊に守られているという点では朝乃山の方に軍配が上がるのではないでしょうか。故郷富山からの英気をもらい、8月1日からは夏巡業へ出発しました。岐阜市を皮切りに東北各地を廻り、8月30日(日)の東京都立川市までほぼ一か月に及ぶ長旅でした。30日に部屋に戻り、31日が9月場所新番付発表、翌9月1日から稽古始めと9月場所へ向け慌ただしく日々が過ぎていきます。
入門して11年目を迎える朝乃山、近畿大学を卒業して順調に番付を上げ幕内最高優勝をトランプ米大統領の前で飾り、大関に昇進してと、大きな成功を収めてきましたが、史上初となる二度の三段目陥落という憂き目も味わい、ようやく前頭6枚目まで番付を戻してきました。波乱万丈、栄枯盛衰、ともいえる11年間の土俵人生は、相撲に向き合う姿勢を、プロ意識を、より高めていることは間違いありません。それを支えているのが富山の山河であり富山のみならず全国の朝乃山ファンの熱烈な応援です。
32歳となった朝乃山ですが、過去には琴櫻32歳、吉葉山33歳での横綱昇進もあります。また現在は、41歳で頑張っている玉鷲の例もあるように、力士の相撲寿命も確実に伸びています。二度の三段目陥落という史上初の次には、史上最高齢での横綱昇進という大輪の花が待っています!
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